お題スロット:我が家の本棚
我が家の本棚に事情ついて
お題スロットなるものを見つけたので使用してみた。「我が家の本棚」とのことなので、本棚に対する個人的こだわりや本棚の内容物について日記を書いてみようと思う。
昔から自分の住む家には本棚が多い。実家は現在、本棚に入りいらずに平積みされている本が本棚の容量の2倍くらいある。屋根裏部屋に至っては本で埋め尽くされて足の踏み場もないほどだ。(まぁこれは整理整頓をさぼった結果なんですけども。)
一人暮らしを始めてから現在に至るまで、僕の部屋から本棚が消えたことはない。現在住んでいる賃貸には大小合わせて5つ本棚がある。(内2つは同居人のもの。)本が溢れたら都度実家に送るようにしているので、現在の体制で1年維持することができているのだ。いつか実家が本の重みで傾くのではないかと思うと楽しみで仕方ない。
私にとって本棚を公開するということ。
僕は本棚の中身を人に公開したことがない。ネットにはもちろん、来客や家族にすら。僕は「自分のパーソナリティを帯びたもの」と僕が認識しているものを人に見られることが嫌いなのだ。本棚の中身もその一種であり、それを人に対して公開するということは自分の中でとても大きなイベントである。
初日の日記にも書いたように、僕は背後が怖い。正確には見えないもの・わからないことが怖い。これは共感してもらえるだろう。
加えて森羅万象、その芯というものは弱点と同義であるという僕の中の定説は年を重ねても揺らぐことがない。人間の感情において「好き」や「好ましい」ということは意思決定を行う上で大きなウェイトを占める。つまり意思決定の芯、転じて自分自身の芯であると言えるものだろう。それに乗っ取れば、恋愛において告白を怖がる現象はまさしく自分の弱点をさらすという行為による恐怖心の典型である。これも共感してもらえるだろう。
本棚には自分の意思決定に大きな影響を与える「好み」の情報が詰まっている。自分自身をさらけ出すこと、つまり弱点を露呈することに対する恐怖感が僕を「本棚を公開しない人」にさせた。
ただし最近は自意識の薄れを自覚してきており、思春期のころと比べれば自己開示に対する抵抗感は低下してきている。日記を始めることができたのもそのおかげだ。
「自意識は年齢を重ねると緩む。」幼少期に母親からそんなようなことを聞いたのを思い出す。確かに僕の自意識は13・4歳頃をピークに薄れていく一方だ。かつては寿司屋で注文ができなかったが、今は不思議と注文することができる。このままのペースで自意識が薄れていくと、15年後くらいには服を着ずに玄関から出ることができるようになってしまいそうでとても不安だ。
当初は自意識の薄れが自分自身の存在の希薄化のように感じられて恐怖したものだが、今となってはこれでよかったと思う。かつて自分を苦しめた自意識は徐々に緩和されて、ずいぶんと生きることが楽になったように感じるのだ。
「自分のパーソナリティを帯びたもの」とは何か。
「自分のパーソナリティを帯びたもの」とは今さっき考え付いた言葉だ。つたない表現力であえて説明するならば「自分という情報が他者に伝わるような形に変換された状態」であろうか?
例えば自分の描いた絵、自分の書いた文章など、いわゆる創作物と呼ばれるものはすべてアウトだ。それ以外にも自分の臭いや声、外見ついても他人に感じて欲しくはない。自分が自分であるという記号を外部に発信したくないのだ。身体と心、両面の自分を他者からの攻撃可能性にさらしたくない。そんな臆病な気持ちがそういう性質を形作っているのではないかと今のところは考えている。危機管理、安全の最も基本的なパラメータは危険との距離である。なぜ僕が他者を危険と認識しているのかはさておき、そこから距離を取りたい気持ちが大きいのだと思う。
僕の中で「自分のパーソナリティを帯びたもの」は自分自身の肉体や意思決定の芯のことを指しているように思える。
自分自身の肉体はもちろん自分自身であるからパーソナリティを帯びている。これは特に説明の必要がないだろう。では意思決定の芯を開示することへの恐怖心は?
意思決定のパターンはその人間を表すものであり、そのパターンが他者から解析されうる状態で現実へ現れてしまえば他人に自分というパターンが露見する。意思決定のプロセスを他者から観測されることは自分の今後の動向を予測されることへつながるのだ。これは待ち伏せが可能になるという意味である。これは怖い。
自分の意思決定に大きな影響を及ぼす自分の好みやそもそも現実の自分が持つ肉体的性質。それは変更不能な弱点のことであり、他人に開示するには十分に恐怖すべきなのである。
本棚の中身を公開するつもりだったのに、時間が無くなった
自分の自意識についてしゃべっていたら時間が無くなった。本棚を公開すると言った以上はそうしたいのだが、おあいにくだ。
またの機会に。
corvuscorax