やらかしました。
味噌汁を火にかけて30分放置しました。味噌汁が味噌に戻ってデロデロです。
発見した同居人はもちろん驚いたであろうが、僕だって驚いた。もう愕然である。
発見時味噌汁を温めていたことなど1㎜も覚えていなかった僕には、その味噌汁が生命を獲得したようにさえ見えた。風呂好きの”豆腐”に唆された両手鍋が、勝手に冷蔵庫から脱獄して自らを火あぶりに処したとしか思えない。
でも火を消して落ち着いてから思い返してみれば、確かに……僕は味噌汁を火にかけている。
もしも失敗ポイントを換金できるならば車が買えるであろうレベルに終了していた僕ではあるが、一応説明させてほしい。
~~~~~~以下、供述~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はこの家の調理担当である。
その日の朝食は、鶏五目御飯と豆腐・ほうれん草の味噌汁だった。二人分には少し多かったそれらは、しかるべき処置をとったのちに保存されることとなった。
五目御飯は冷めてからラップで包み冷蔵庫へ。
みそ汁は冷めた後に蓋をして鍋ごと冷蔵庫へ。
ちょうどよい夜食ができてハッピーだった。
夕飯にはクリームシチューを作った。母から譲り受けたでっかいデニッシュを消費しなければならないからだ。やはり二人分には少し多い(というか4皿分作ったので倍量、もう一食分ある)ので、シチューについても然るべき処理の後に保存される運びとなった。
熱が取れてからタッパーへ移し冷蔵庫へと収納しようとしたのだが、ここで問題が発生した。
今朝の味噌汁が入った鍋が庫内を占有し、タッパーを入れる余裕がないではないか。
さてどうする?
2秒後、「そうだ、今味噌汁飲んじゃえばいいんじゃん」と閃く。
一度タッパーを手近な机に置き、鍋を取り出してコンロへ向かい火にかけた。
刹那、冷蔵庫が鳴き、ドアが開け放しを知らせる。
いかんいかんとドアを閉めて何となく右を向くと、視線の先にはシチューのタッパーが見えた。
「そうじゃん! 危ない危ない。シチュー腐らせるところだった。SDGsだぞ?」
食材を腐敗から救い出した僕は、大きな満足感を胸にタッパーを冷蔵庫へ収蔵し、パソコンへ向かったのだった。
※30分後 同居人がトイレへ行った際に発見し、絶叫。運よくボヤには到らなかった。
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以上が顛末である。
タッパーに気と心を奪われた結果、みそ汁は僕の短期記憶から抜け落ちて意識の外側へ溢出したのだった。
火が関わることとあっては、普段は柔和な同居人も流石に怒りを僕に向けます。もう何も言えません。有罪です。
「火を使っているときは火元から離れない」
こんな当たり前のような注意喚起は、僕のような人間の為にあるのだなぁ……
また自身の「終了」エピソードが増えてしまった。もう僕には「自分」が手に負えません。助けてください。
今日の鳥 アンテナのジョウビタキ
corvuscorax