4月23日
天気は霧雨。
傘をさすかさすまいか、絶妙に迷う天気である。
気が付けばまた天気の話をしているが、これは仕方のないことだ。天気の話は多様性の現代においても効果を発揮しうる「共通の話題」の最高峰なのだから。
天気と言えば、国際式の天気記号を眺めるのはなかなか面白い。
僕らが天気について言及しようとするときには、晴・雨・曇・雪・雷・霧がせいぜいであるし、生活上はそれがわかれば十分だ。
しかし、気象観測となるとそうはいかないらしい。
天気の記号を考察する:前半戦
下に示すのは気象庁のHPに掲載されている国際式の現在天気記号の一覧表である。
上の表には、現在の天気を表記するために00~99までの100記号が用意されている。
もっとも優先度が低い00は天気不明(観測無)のことを表し、99は雹・霰を伴う強い雷というパニック映画のような天気である。
00~19は様々な天気が細分されて分類されているため詳細は省くが、01~03がいわゆる晴であり、他にも靄(もや)・煙・黄砂・スコールなどがここに含まれる。これらはきわめて局地的な現象であったり、天気というよりは空の状態異常のような状態だったり、あるいは特記事項無しといった雰囲気だ。
これらの天気はそれ以下の天気が観測されれば記録に残らない、人間にとって相対的に弱い天気であると言えるわけである。
2の段は過去1時間以内に観測された天気を示す。
ややこしいところは、それ以下の現在天気の優先順位とこれら過去1時間天気内の優先順位が一致しないところだ。
と言ってみたが、よくよく見てみると霧の優先順位が上がっているだけで、そのほかの天気は以下の優先順位に沿っていることに気が付く。
なぜ過去天気において霧の優先度が上がるのかは調べていないのでわからないが、もしかすると海上交通上の有害度が高いからなのかもしれない。
3の段はSと矢印を組み合わせたようなマークが前半に並び、後半は直線と矢印によってデザインされている。
まず前半の「S」を含む記号たち、これらは砂塵嵐である。
いわゆる砂嵐がこれに含まれるのだが、別に砂漠でしか発生しないわけではないようだ。
霧と靄(もや)の違いは視程(見通せる距離)であるが砂塵嵐も視程が関係しており、風によって巻き上げられた砂によって視程が1キロメートル未満になれば砂塵嵐として記録される。そのため砂漠が存在しない日本でも観測されることがあり、2013年には関東地方でも観測された。
後半の直線と矢印の組み合わせは地吹雪、積雪が強風によって持ち上げられる現象である。
砂塵嵐と地吹雪は浮遊粒子が砂か雪かという違いでしかないので同じ段に含まれているのではなかろうか。
ただ、砂嵐と地吹雪が同時に観測された場合は地吹雪を優先して記録することになっていることには注目したい。
地吹雪は積雪という大気由来の現象が発生している前提があるので、気象としてはそちらが優先ということだろう。
4の段には3本の横線を基調とした記号が並ぶ。これらは霧である。ちなみに靄(もや)は10番の横2本線であり直観的に覚えやすい。
靄(もや)が視程10キロメートル未満の状態を表すのに対し、霧は1キロメートル未満の状態を指す。
霧について特筆すべき点は特にないが、発生している高さ(目線の高さ以下・以上の区別と、天空が見通せるかどうかという区分)によって観測結果が変わる点は他天気と一線を画していると言えるだろう。(地吹雪も目線以下か否かで区別される)
休憩:近所の喫茶店について
長くなってきたので一度休憩をはさむことにした。
と言っても僕は別に笑い話ができるわけではないので、一応日記の体裁を保つために本日の出来事について書くことにした。
本日夕方、少し気分を変えようということで隣駅の駅前にある喫茶店まで足をのばすことにした。
富澤商店の店舗(先日とは別の駅)があるということなのでついでに買い物でもと思ったが、19時で閉店ということで能わず。おとなしく本屋と喫茶店をはしごすることにした。
わざわざ電車に乗る面倒を冒してこの喫茶店に来るのにはもちろん理由がある。
喫煙”席”が現存しているからだ。
現代において、コーヒーと煙草というエモい組み合わせを楽しむためにはそれなりに行動力が必要になるのである。
ちなみに実家に最寄っている喫茶店も現状喫煙可能であるためよく行くのだが、時代の流れの中でいつそのハッピースペースが消滅するかと思うと内心穏やかではない。
喫煙席の需要が特定の喫茶店の売り文句になりうる時間は、あとどれくらい残されているのだろうか。
そう思うと、なんてことないコーヒーブレイクも得難い体験へと昇華するのである。
人生を愉しむという事は、事柄をいかに捉えるのかについての勝負なのだ。
天気の記号を考察する:後半戦
では天気記号の続きを考察する。
上までスクロールするのが面倒くさいので、記号表を再掲する。
5の段の巨大コンマは霧雨、6の段の黒丸は雨、7の段の前半は見た目通り雪である。これらは大きく降水として括ることが出来る身近な天気たちである。
霧雨と雨の違いは雨滴の粒径で、0.5mmが境になる。
雨と霧雨の段における7・8列目に横倒しにしたSのような記号、相似の記号∽みたいなものがあるが、これは着氷性であることを示す。船や、特に航空機にとって重要な情報であろう。
また8・9列にはそれぞれ前後の記号が混ざったものがラインナップされているが、これらは見た目通りで5段目のそれは霧雨と雨の混じった天気、6段目の雪と雨が混じったマークもそのまま雨と雪が混じった天気を示しており、これがいわゆる霙(みぞれ)である。
7の段後半には横矢印、横線と記号の組み合わせ、三角点の記号がならんでいるが、一見して何の天気を示しているのかがよくわからないし、内容を見てもピンとは来ないものたちだ。
ただし、76の横矢印は名前だけならよく見る現象である。
この記号は細氷:ダイヤモンドダストを表す。空気中の水蒸気が昇華して細かい氷の欠片となり空気中を漂う現象である。
ダイヤモンドダストの後ろに続く横線の組み合わせ記号と三角点が表す天気は、少なくとも関東地方に住んでいて日常的に見聞きするものではない。
77の三角横線は霧雪(むせつ)。粒径1mm以下の細かな降雪を指す。
78の”ばってん横線”は「単独結晶の雪」。雪は普通複数の結晶が固まってできた雪片となって降るが、単結晶で降ることもある。
77・78は似ているが、霧雪は単結晶とは限らず粒径1mm以下の雪片が降ることを指し、その中でも単結晶のものを「単結晶の雪」として区別しているのである。
そして単結晶であることの方がレアリティが高いため、観測されればぜひ記録したいという事だろう。
79は凍雨(とうう)。空中で一度溶けた雪が地表に落ちるまでの間に再度凍結することで生じる。
地表から上空までの寒気の間に薄い暖気の層(融点以上の気温のもの)が入り込むと生じることがある。地表よりも上空の気温が高く、さらにその暖気層の上に氷晶を生成しうる寒気層が無ければ生じないレア現象である。
8の段のすべてと、9の段の最初にめり込んでいる逆三角形を基調とした記号は「しゅう雨性降水」を表す。
しゅう雨性降水とはいわゆる強い雨で、対流性の雲(積乱雲)によってもたらされる降水のことを指す。
逆三角の上に置かれた小記号によって降水粒子が分類されており、黒丸なら”強い雨”、結晶マークなら”強い雪”である。
後半になると逆三角の上に三角形を重ねた記号がお目見えするが、これらは霰(あられ)と雹(ひょう)である。
白抜き三角が霰、黒三角が雹。
表によれば雹の方が優先して記録される天気であるとされているということだ。
最後、91~99までの「乃」みたいな記号は雷電、つまり雷である。
これらもしゅう雨性降水記号と同様に、付帯する小記号によってその性質を示している。黒丸が付されていれば雨を伴う雷電、雪マークが付されていれば雪を伴う雷電ということである。
すごくごちゃついている記号だなと思った。
ちなみに、「乃」記号の右半分にあたる先端が矢印の線は、その折り返し回数によって雷の強度を示す。つまり上の表の中で内側に矢印が向いている記号は折り返し回数が多いため「雷強し」という意味になる。
「強い雷」とは何かと思ったが、さすがにそこまで調べる体力はなかった。
大事なのは、雷を伴う天気は記録の優先度が最も高いということなのだ。きっと電気エネルギーによって成り立つ現代社会において、一番の天敵が雷という事なのだろう。
終わりに
この文章は教材ではなく、あくまで僕個人の娯楽としてまとめられたものだ。
気象庁HPや自宅にある書籍に記載されている内容を、僕というフィルターを通して文字化したものであるため、科学としての厳密さに欠けるという点は一応注意願う。
天気に興味がある方や正確な情報を詳しく知りたい方は図書館や本屋で気象学の書籍を借りるなり購入するなりして読みこむか、気象研究者に直接問い合わせるのが良いだろう。
ここに書かれていることは、その辺で拾ったメモくらいに捉えてもらうのが妥当だろう。科学にとって大事なのは手続きであり、然るべき方法で獲得した知にこそ意味がある。
上記の駄文はただの一般人が科学をネタにして自分本位にまとめた文に過ぎず、他人を納得させるに十分な説得力はないのである。
話のタネくらいにはなるかもしれないが、間違ってもこれを基に既存の体系知に挑もうとしたりしてはいけない。
また、もう一つ今日気が付いたことがある。
僕は日記更新の時間を決めておらず、日記が書きあがった時点で公開しているのだが、当然文量が多くなればなるほど公開時間が後ろへずれていくのだ。
つまり読むことに時間のかかる長い日記ほど遅い時間に投稿されるという事である。
これはあまりよくないな。
corvuscorax